高円寺駅から徒歩七分のシェア型書店。  1列単位の棚主がつくる新しい書店。

火星が出ている

火星が出ている

ふつうの本屋

うちの子ども(長男、9歳)は粘土がすきで、よく家でいろいろ作ってます。そのクオリティがとても高い。造形技術が高いのもすごいんですが、作品のイメージがすごくて。でも、事前に何か下書きのようなものは準備しないし、テレビの前でYouTubeを見ながら作っているし、何を考えて作っているのか全然わからない。ということで、長男に聴いてみました。
「どんなものを作るかって最初に見えてるの?」
「見えてないよ」
「じゃあ、どうやって作るもののイメージを具体的にしてるの?」
「うーん、粘土に触ってると、こういう風にしようかなってアイデアが湧いてくるから、それをもとに作ってる。だから、イメージとかはないよ。作りながら考えてる。」

ビジネスの世界では「何をやるか(to do)」ではなく、「どうあるべきか(to be)」が、手段ではなく目的が重要なんだと言われることもあります。

「何かを作るときはコンセプトが不可欠だ」という考え方もあります。コンセプトに合わないものは余計なもの、不純なものだとされます。

長男の粘土づくりには、目標やコンセプトのようなものはなくて、彼はテレビ見ながら湧いてきたアイデアを形にしているだけです。彼にはto beはなく、to doしかない。目標はなく、手段しかない。不純で、余計なものしかない。それでも、クオリティの高い作品を作ることができている。

すごく楽しそうに作ってるのがいいんですよね。完成した作品を僕に見せにくるときの誇らしそうな表情もいいし、その作品をあっさり壊して、次にとりかかる身軽さもいいなと。自由だなって思います。

そんな長男に影響を受けつつ(憧れつつ)、僕も本屋って楽しそうだなと思って始めることにしただけで、特に何かを目指してるわけじゃないなと改めて思いました。なので、「火星が出ている」ではコンセプトや目標を設定しないことにしました。
僕が楽しく本屋をやることを大事にしようと思ってます(ちなみに、一番楽しいのは本が売れるときです)。ユーザーじゃなくて、自分・ファースト。だいぶ気まずいんですけど、でも、今の自分にフィットするので、これでやっていこうと思ってます。どうぞ、よろしくお願いします。

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